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Vol 23:着床前診断 その2『転座/逆位』

Tiempo de lectura: 1 minuto
アンディさん、中岡 義晴先生

病院の先生方をゲストにお招きし、不妊治療の最先端医療技術についてわかりやすくお伝えしていきます。今週のテーマは「着床前診断 その2『転座/逆位』」。

番組情報

放送分:2018年6月10日放送分
ゲスト:IVFなんばクリニック 院長 中岡 義晴 先生
テーマ:着床前診断 その1『単一遺伝子疾患について』
FM西東京のページ:こちら

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番組紹介

ここからのお時間は「妊活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ」をお届けします。
最近「妊活」という言葉をよく耳にしませんか?
妊娠の「妊」、活動の「活」、ひとことで言えば文字通り「妊娠するための活動」という意味があります。
まさに妊活中のあなたに届けていく20分間です。

この番組では、ゲストをお迎えし、テーマに沿って不妊治療の最先端技術を紹介していきます。
お話を進めていただくのは、スペイン発の不妊治療を専門とした遺伝子検査会社アイジェノミクス・ジャパンの法人代表であり、理学博士のアンディさんです。アンディさん、今週もよろしくお願い致します。

番組内容

アンディ: よろしくお願いします。今日はスタジオに、大阪からIVFなんばクリニックの院長、中岡義晴先生にお越しいただいております。先生、今日はよろしくお願いします。

中岡: よろしくお願いします。

西村: よろしくお願いいたします。

アンディ: 今日のテーマは、着床前診断 その2『転座/逆位』についてお話をいただきましょう。

西村: それでは今週もIVFなんばクリニック院長の中岡義晴先生と一緒にお届けしていきます。中岡先生、よろしくお願いいたします。

中岡: よろしくお願いします。

西村: 先生。先週、IVFなんばクリニックの特徴なんかもお話しいただいたんですが、先生ご自身が患者さんと向き合うときに心がけていらっしゃることとかありますか?

中岡: 私の過去の経験なんですけども、実は私たち夫婦も四回流産を経験しております。私たちのクリニック、不妊だけでなく不育症にも非常に力を入れてるというのは、そのように流産の苦しみというのがよく分かるということで、なるべくその流産を防ぎたいということからその取り組みを一生懸命しているというところです。今回のこの着床前診断に関しても、染色体の転座、逆位とかの構造異常があると非常に高い割合で流産が起こってしまうということで、それを少しでも減らしたいということでその治療に積極的に取り組んでおります。

アンディ: 先生、今日のテーマは先週に引き続き着床前診断の転座と逆位についてお話をいただくんですが、まず転座、逆位というのは、名前を聞いても多分、一般の方はよく理解できないかもしれません。これはどういうことでしょうか?

中岡: まず、染色体の異常。転座に関して言いますと、その染色体の一部がそれぞれ入れ替わっちゃってる、別のところにあるという異常です。分かりにくいと思うので例えて言いますと、本箱があります。その中に本が本来の場所じゃないところに入っている、と。転座の場合は、二つの本がそれぞれ入れ替わっているということになります。本箱の中の本の状態、種類、数は全然変わらないのでご本人の異常はまったく起きないんですが、次に精子とか卵子が出来る場合、その本箱が半分に分かれていくことになります。半分に分かれていくときに、入れ替わっているその本が同じ側にあればまったく問題は無いんですが、別の本箱の中に入ってるとそれが分かれてしまって異常が起きてくることで次の世代、子どもに流産が起きやすくなってくることになります。大部分の異常の範囲に関しては流産ということになりますが、ごく一部、おそらく数%ぐらいに関しては大きな先天異常を持って生まれてくることになりますので、そこはまた注意が必要になります。

アンディ: 先生、転座の説明は面白い例えで、非常に分かりやすい説明でした。じゃあ逆位は名前の通り、染色体の一部が反対になってつながってるんですね? この場合は、どのような異常につながるんでしょうか?

中岡: 逆位の場合も、ちょっと難しいんですけども、染色体がひっくり返ってるというか、位置が替わってるところで組み替え、という。卵子ができていくときに染色体が二つ入れ替わってしまうところがあって、それが起きると次の世代に異常が起きるということになるんです。非常に難しいので分かりづらいと思うんですけども。ただ、逆位に関しては非常にその頻度が低いので、それと流産にもあまりなりにくいということで、やはり転座がメインになっていくと思います。

アンディ: 先ほど均衡転座と不均衡転座というのがあったのですが、不均衡の場合は当然、次の世代は増幅か欠失が起きる可能性があると考えられるんですけども、症例の中ではどのような異常が一番よく見られますか? 例えば、先天異常児の場合。

中岡: 染色体の異常ですか? 染色体の異常はもう、症状の出方はまったくばらばらで。大きな染色体の異常であれば重大な異常が生じてきますし、小さな染色体の異常であればその症状も軽かったりします。だけど大部分はもう流産として、生きる力も無い赤ちゃんで流産してしまうということになります。もう一つ、正常に生まれてくる赤ちゃんの半分はご夫婦と同じような形の均衡型、その転座のお子さんということになります。それを着床前診断で診断することはできない、ということになります。

西村: 『任活ラジオ~先端医療の気になるあれこれ~』。大阪よりIVFなんばクリニック院長、中岡先生にお越しいただいております。先生、後半もよろしくお願いいたします。

中岡: よろしくお願いします。

アンディ: 先生。この転座の着床前診断ですが、どういう方が対象者になりますか?

中岡: ご夫婦のどちらかに均衡型の染色体構造異常、転座であるとか逆位、そのような異常がある方で、かつ二回以上流産の経験がある方というのが対象になっていきます。

アンディ: もし診断する必要がある場合、もちろん学会の申請が必要だったと思うんですが、その手続きは? 先週も少しその話がありましたが申請する必要があるということで、手続きは単一遺伝子疾患と比べて何か違うところがありますでしょうか?

中岡: 現在のところは単一遺伝子疾患とまったく一緒ですけども、今後は施設認定ということになって、一カ月ごとに日本産科婦人科学会から承認の方が返ってくるということで。その承認も早く、短くなっていくんじゃないかと考えております。

西村: さて先生。あとお伺いしたいのが、IVFなんばクリニックの症例のご紹介などもぜひお願いしたいんですが。

中岡: 私たち、大阪にあるクリニックなんですけども、関東の方からも患者さまが来られてます。一人の患者さまは37歳なんですけども転座がある方で、東京の大学病院の方で着床前診断を希望されて。それで承認の方を待たれていた訳なんですけども、その大学病院内の倫理委員会がなかなか通らないということで大阪の方に来られて。それで大阪の方から申請を出して承認を受けたという方がいらっしゃいます。その方は二回の着床前診断を受けられて、それで今ひとり出産されて二人目を妊娠中ということです。もう一人の方はこれも関東の方で、栃木の方なんですが、十回も体外受精を受けられて流産されてる方なんです。

西村: 十回も。

中岡: それで、染色体の検査で相互転座があったということで、関東の方で凍結してある受精卵を診断できるかということで探されたようですけども、実施してもらえるところが無くて大阪まで来られていました。実は四個卵、胚があって、そのうち二つが正常だったということで、十回流産されるにはちょっとおかしいということで不育の検査をしましたところやはり不育の異常があって、ということで。血液が固まりやすいという異常と、あとは夫婦の免疫の異常、同種免疫異常があったということで。実は当院ではリンパ球の免疫療法もしてますので、それを受けにまた関東から当院の方に二週間ごとに六回も来られてて。そのかいもあって無事、元気な赤ちゃんを出産されてます。

アンディ: 先生。この転座の着床前診断をされて、実際の有効性を教えていただきたいです。例えば診断したことで妊娠率と流産率がどう変わったか、というデータをちょっと教えていただきたい。

中岡: 当院では今20症例ぐらいの胚移植を行っております。まだ症例としてはあまり多くないんですが、次世代のシーケンサーを用いて染色体の解析を行っております。実際の妊娠率は68%、女性の平均年齢が37歳でした。流産率が、今のところ0%です。0%はたまたまだとは思うんですけども、そのように流産は無いということで、この治療方法が流産には非常に有効であるということがこれからもわかろうかと思います。

アンディ: 先生、先ほどのお話では次世代シーケンサーという方法で検査されておりましたが、これから技術の変化というか、また新たな技術が出てくると予想されているでしょうか?

中岡: そうですね。次世代シーケンサーで検査をするような場合は、倍数性異常という異常は分からないということであったり、他の細かい異常とかも分からなかったりするんですが、一塩基多型、SNP(スニップ)を用いた方法でさらにそういうのは改善されるということと、もう一つは、培養液の中にこぼれ出たその細胞、DNAを用いて診断ができるようになれば、実際に細胞を採っていかなくても着床前診断ができるような時代が来るかもしれない、というのも期待しております。

アンディ: 先生のお言葉にありました非侵襲性の着床前診断というのは弊社も開発しておりまして。将来的に、細胞に傷つけないで検査もしくは染色体の整合性が分かるような技術ができたら、もっと無傷に胚を戻すことができるということは期待できるかな、と思います。

西村: さて、お時間となりました。二週にわたってIVFなんばクリニックの院長、中岡義晴先生と一緒にお届けしていきました。先生、最後に皆さんにメッセージちょうだいできますか?

中岡: 私はこの着床前診断で流産を減らしたいという強い思いを持っております。四回も流産した私たちですが、実は二人子どもがいます。皆さんも不妊治療、不育症治療もそうですが、子どもをぜひ諦めないようにして頑張っていただければ必ず子どもが生まれる、そのように信念を持って治療に取り組んでいただければと思います。

西村: 中岡先生、ありがとうございました。

中岡: ありがとうございました。

西村: そして、アイジェノミクス・ジャパン代表、理学博士のアンディさんと一緒に今週もお届けしていきました。アンディさん、来週もよろしくお願いします。

アンディ: はい。よろしくお願いします。

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